院内感染の予防対策について
院内感染とは、医療機関を受診した際に、もともと感染していなかった細菌やウイルスに新たに感染することをいいます。
治療に使用した器具の滅菌や患者さまが触れる場所の衛生管理が充分にされていなければ、一人の患者さまからほかの患者さまへとさまざまな病原菌やウイルスが感染してしまう危険性があります。
どんなに治療の腕がよくても、最新の設備が整っていても、感染予防の対策が充分に行なわれていなければ、医療の質がよいとは決していえません。
当院では、医療機関としての最大のおもてなしは、「清潔であること」と考え、患者さまが安心して治療を受けられるよう、徹底した衛生管理と滅菌対策に努め、院内感染をしっかりと予防しております。
ここでは、当院の衛生管理の取り組みやこだわりをご紹介します。
ドイツ・シーメンス社製ユニット
当院では、ドイツ・シーメンス社製のユニットを、プライバシーが守られた4室の個室診療室すべてに採用しております。シーメンス社は、工作機械メーカーとして古くから他社の追随を許さない品質と徹底した製品管理を誇っており、歯科ユニットにおいても、機能面だけでなく衛生面において高い品質を実現しております。シーメンス社のユニットは、各部を取り外して滅菌処理をすることが可能なため、常に衛生的な状態を保つことができます。
各室のキャビネット部
当院では診療室をすべて個室化しております。患者さまお一人おひとり個室にて診療することで、菌の飛散を防止することができます。
また、使用した器具類の放置時間をできるだけ少なくすることは、感染予防において非常に重要です。当院では、各個室のキャビネット部に消毒液槽を備えており、そのなかに治療に使用した器具をすぐに入れることで、すみやかに除菌をすることができます。
超音波消毒機
治療に使用した器具類は消毒液層で除菌したあと、超音波消毒機で数十分にわたって消毒をします。
超音波消毒機に消毒薬を入れ、器具類に強い超音波振動を与えることで、汚れや細菌を、ほぼ完璧に洗い落とすことができます。超音波消毒機で消毒したとは、薬液を洗い落とすためにしっかりと水洗いをし、乾燥させたら、治療内容により分別して、滅菌パックに収納します。
カールテンバッハ社製全自動清掃注油機
歯を削るタービンハンドピースや電気エンジンハンドピース、4倍速ハンドピースなど、各種の診療で使用された機器類は、感染のリスクがもっとも高いため、患者さまごとにすべて取り替えます。これらのハンドピース類はドイツ・カールテンバッハ社製の全自動清掃注油機を使って清掃し、オイルメンテナンスをします。
滅菌パックに収納されたハンドピース
オイルメンテナンスをしたハンドピースは、滅菌機で滅菌処理をするために滅菌パックに収納します。
患者さまごとにハンドピースを取り替えて滅菌を行なうためには、たくさんのハンドピースと必要とするため、コストがかかりますが、感染のリスクを回避し、患者さまの安全な治療を提供するためには欠かせない設備投資だと考えております。
滅菌機
滅菌パックに収納した器具類や各種ハンドピースは、滅菌機を使って滅菌処理をします。
滅菌機は、オートクレーブとケミクレーブが一台ずつと、最新の高速オートクレーブが一台の計三台あり、器具の特性に合った滅菌機を使って滅菌処理を行ないます。
ちなみに「滅菌」と「消毒」を同じことのように捉えがちですが、意味は大きく異なります。消毒は特定の病原菌のみを死滅させることを意味するのに対し、滅菌はすべての細菌を死滅させることを意味します。当院では、滅菌処理された器具類は区分けされた後、治療で使用するまで保管庫にて厳重に保管します。
スリッパ消毒機
診療室以外の院内の衛生管理のひとつに、患者さまにご使用いただくスリッパの消毒があります。
スリッパはきちんと清掃し、消毒機によって紫外線消毒をしますので、清潔なものをお使いいただけます。
使い捨てスリッパ
スリッパは使い捨てのものを選択していただくこともできます。使用後は備え付けのゴミ箱にお入れください。お持ち帰りいただいても結構です。
院内すべて自動水栓
「蛇口のコックを回して水道水を使う」という行為も、衛生面では問題があります。そのため、診療室内の水場だけでなくトイレや洗面所など院内すべての水栓を、センサーによる自動水栓としています。
また、トイレは便座のフタもセンサーで自動開閉します。より清潔に使用していただくために除菌スプレーや使い捨ての便座シートもご用意しております。
紙タオル
通常のタオルは雑菌が繁殖しやく、使用すると手が細菌で汚染されてしまう可能性があるため、院内のタオルはすべて紙製の使い捨てタオルとなっております。
パウダールーム
患者さまに気持ちよくお使いいただけるよう、常に衛生的に保つように心がけております。もちろんパウダールームも自動水栓で、紙タオルを備えております。
このように院内の衛生管理を徹底し、清潔な環境を整えることは、医療機関においてもっとも重要な責務であると考えます。
診療時の衛生管理
滅菌処理をした器具類を治療に使用するまでの間の衛生管理や、診療中に感染を防止するために行なっている対策などについてご紹介いたします。
器具を滅菌シートの上に並べる
治療の直前に滅菌パックに収納されていた基本セット(ピンセットやミラーなど)を、滅菌シートの上に並べます。この滅菌シートは、ドイツ・バイエル社製のビニールシートに裏打ちされ、防水加工の施されたものを使用します。当然ですが、滅菌シート・滅菌パック・手袋は患者さまごとに必ず使い捨てます。
手が触れるすべての箇所を消毒
ユニット周りの衛生管理も徹底して行ないます。治療部位の洗浄・乾燥を行なうスリーウェイシリンジとよばれる機器は、患者さまごとに消毒し、ラップで覆います。患者さまごとに滅菌処理したハンドピース類は、ユニットに取り付けたあと、ビニールシートを被せます。使用するときはそのビニールシートを取り外して使用し、使用後はすみやかに消毒室へ運び、ふたたび滅菌処理をします。
そのほか、ユニットについている取っ手やヘッドレストカバー、レントゲンカバー、ライトの取っ手など、手が触れる箇所はすべて患者さまごとに消毒し、ラップやビニールシートで覆うことで、常に清潔な状態を保ちます。
殺菌力のある水を使用
治療中に使われる水も、清潔で殺菌力のあるものが好ましいことは言うまでもありません。当院が導入しているシーメンス社製のユニットにはオキシドールと精製水をそれぞれ500㎖入る貯水槽があり、そこから殺菌力のある水を供給できるようになっております。
顔面の保護と衛生
治療中の衛生面においてもっとも考慮するべきことは、患者さまの顔面の保護です。歯を削る機器は、虫歯の原因菌に汚染された歯の削りカスも周囲に飛散させてしまいます。そのため、必ずドレープとよばれる滅菌された厚い布を顔にかけて、顔面を保護します。ドレープをかけることで、治療器具を誤って顔に落としてしまう危険などからも守ることができます。