予防ケアとは
歯科医院では、虫歯や歯周病などのお口の病気を治療するだけでなく、お口の病気を予防し、健康を維持するための処置を受けることができます。それが予防ケアです。毎日の歯磨きにプラスして、定期的に歯科医院で予防ケアを受けていただくことで、虫歯や歯周病にかかりにくくなるだけでなく、歯を治療するよりも少ない費用と時間でお口の健康を保つことができます。
歯は、食べ物を咀嚼[そしゃく]し、発音を助けるだけでなく、顔の印象を決定付ける器官でもあり、人が健康で豊かな生活を送るために非常に大きな役割を担っております。
大切な歯を病気から守るために、予防ケアをはじめてみませんか?
当院では、米国で習得した世界水準の予防ケアと40年以上にわたって院長自ら実践してきたプラークコントロールをベースに、より健康なお口へと導くケアをご提供いたします。
歯周病、虫歯の原因となる歯垢(プラーク)とは
歯垢(プラーク)のことを、食べかすであると思っている方も多いかと思いますが、実はそうではありません。歯垢とは、凝縮した細菌の塊であり、食べかすとは別のものなのです。
歯垢はバイオフィルムの一種で、ネバネバした物質と一緒に歯に付着します。バイオフィルムとは粘性物質に覆われた細菌の総称で、身近なところでは、台所の流しの排水溝にへばりついたヌルヌルしたものがこれにあたります。
歯垢は1ミリグラムあたりに2億個もの細菌が生息しており、たくさんいる菌の中に、虫歯や歯周病の原因になる菌が生息しています。
歯に付着してから長時間経過した歯垢は、虫歯や歯周病の原因となる酸や毒素を発生させながら増殖し、口臭のもととなる悪臭を放つようになります。
プラークコントールの重要性
歯ブラシなどの清掃用具を使って歯垢を除去し、清潔な口内環境を保つことをプラークコントロールといいますが、虫歯や歯周病を予防するためには、このプラークコントロールがなによりも大切です。
とはいえ、ただやみくもに歯を磨けばよいということではありません。毎食後に何度も強い力で歯を磨けば、擦過傷や歯肉退縮などのトラブルを引き起こす可能性があります。
歯垢は、きれいに磨かれた歯の表面にしっかりとした構造体として形成されるまで24時間かかるため、一日に一回、丁寧な歯磨きで取り除くことで、充分な予防効果が期待できます。
とくに効果的なのは、寝る直前に歯を磨くことです。就寝時は自浄作用のある唾液の分泌量が減り、細菌が繁殖しやすくなるため、その前に細菌の数を減らすことが有効です。
就寝前が難しい場合は、患者さまお一人おひとりのライフスタイルにあわせた時間帯でも問題ありません。重要なのは、しっかりと歯垢を取り除く歯磨きを、毎日続けていくことです。
プラークコントロールとは
プラークコントロールとは歯ブラシ・ワンタフトブラシ・フロス(歯間ブラシ)を使用して、一日一回お口の中のバイオフィルムを取り、虫歯の無い、そして健康な歯茎と口臭の無い清潔なお口の環境をつくっていくことです。
歯垢(バイオフィルム)は24時間経過して形成されてきます、そのため歯垢を取るための清掃は一日一回行えばいいこととなります。清掃時間帯はその人それぞれのライフスタイルの中で都合の良い時間に行なってください。
そして、毎食後の清掃は食べかすを取る程度の清掃を心掛けることが大切です。
歯ブラシによるプラークコントロール
歯ブラシで磨く順番は、右上奥より磨きます。
ワンタフトブラシによるプラークコントロール
ワンタフトブラシで磨く順番は、右上奥より磨きます。
フロス(歯間ブラシ)によるプラークコントロール
フロスを中心としたプラークコントール
当院の院長は40年以上に渡り行なっているフロッシング方をご紹介します。フロスを中指ではなく、人差し指に巻き付けます。そして、中指と親指でコントロールしていきます。
この方が、余程使いやすくプラークもよく取れます。そしてノコギリを引くようにしてコンタクトポイントを通過させます、歯肉を痛めないようにするためです。パチンと入れないという事です。はずみで歯肉溝内の接合上皮を痛めないようにという配慮からです。糸が入ったなら近心面と遠心面に分けて磨き、どちらも包み込むようにして上下してプラークを取っていきます。決して前後ではありません、包み込んで上下に動かすことで、隣接面とラインアングル部もすべて取り除くことができます。この時、歯肉溝内へは注意を払い入れますが、慣れてくればその部分も含めて非常に早くプラークを取り除くことができます。
フロスを使った歯磨きのポイント
フロスを15cm程度に切り、両端を結んで輪にします。
指を使って2cm程度の長さにフロスをピンと張ります。
のこぎりをひくように歯と歯の間に通していきます。
のこぎりをひくように歯と歯の間に通していきます。
当院の予防ケアメニュー
当院の予防ケアでは、以下のような処置と指導を行なっております。
歯肉の検査
プローブとよばれる細い針のような器具を使って歯と歯肉のすき間(歯周ポケット)の深さを測定します。歯周病による炎症の進行により歯周ポケットは深くなっていきます。
歯磨き指導
磨き残しの多い歯と歯の間、歯と歯肉のすき間を、フロスを中心とした補助清掃用具を使ってしっかりと磨けるようにご指導いたします。
歯石除去
歯磨きでは除去することのできない歯石をスケーラーとよばれる専用の器具を使用して徹底的に除去します。HCLO療法を付加する場合は、HCLO(高濃度次亜塩素酸水)で流しながら細菌を溶かします。
ヤニ取り
お茶やタバコなどが原因で歯に沈着した色素汚れを専用の機器を使って除去します。この処置で取りきれない汚れは、ホワイトニングなど審美的治療をご提案します。
歯の研磨
歯石を取ったあとは表面がざらざらして歯垢が着きやすくなるため、表面を磨きます。
フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗布します。フッ素には虫歯菌を防ぐ働きがあり、塗った後も効果が持続します。
よくあるご質問
何も不安や痛みは無いのですが受けた方が良いですか?
日本の成人の8割がかかっているといわれる歯周病は、痛みなどの自覚症状がほとんどありません。知らないうちに歯周病が進行していたということがないように、まずは歯周病の検査をお受けになることをおすすめいたします。
虫歯や歯周病を予防するにはどうしたらいいですか?
なによりプラークコントロールが大切です。当院では、歯垢の溜まりやすい歯と歯の隣接面もきれいに清掃することができる、フロスを中心としたプラークコントロールを推奨しております。
正しい歯磨きの仕方を知りたいのですが教えてもらえますか?
もちろん、しっかりとレクチャーさせていただきます。現在の歯磨きでは磨けていない部分を確認したうえで、歯ブラシだけでなくワンタフトブラシやフロスを使った効果的な磨き方をお伝えいたします。
フロスってどういうものですか?
歯と歯の間に通して清掃する、糸状の歯の清掃用具です。歯ブラシでは磨くことのできない歯と歯の隣接面の歯垢をしっかりと取り除くことができます。歯と歯の隣接面はもっとも虫歯になりやすい箇所であるため、フロスを使うことで、初めてプラークコントロールができるといえます。